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2011年7月17日と18日に第一回湧書会展を、河原町画廊の1階と2階で開きました。

以下は、ご来場の皆さまへの挨拶文に修正を加えたものです。

<第一回湧書会展 月と星とあしたへ>

私がどのように書と関わったかを簡単に記します。まず、私は、小学1年生か2年生の冬、ある 書道教室に通い始めたのですが、それはたまたま非常に高名な先生の教室でした。けれども、当時はそのことは分かっていませんでした。最初の課題は、半紙に縦に「一 二」という2字を書きました。大人の人は「一 二 三 四 五 六」と初めから6字の課題が与えられていました。けれども、私は子供だったので次の週に「三 四」。で、その次は「五 六」。で、当然その次は「七 八」。すると、ご自分のことを「おばさん」と呼んでおられた先生の奥さまがお稽古の部屋を行き来しながら、ふと私の書いた「八」を指差して、「上手ねッ!」とおっしゃいました。そのとき私はなんで「おばさん」が上手だとか評価するようなことを言わはるんやろ? とか、先生でなくて先生の奥さんだけど、大人だから分かるのかな? とか考えていました。

実は、奥さまは、先生とはまた違うタイプの書道家でいらっしゃったのですが、そのとき私はそういうことを全く知らなかったのです。しかも、学校の成績は悪くはないけれどもぼんやりしている、というタイプの子供でしたから、ただぼんやりとお稽古を続けていました。また他の先生・他の教室を全く知らなかったため、お習字教室というところに行けば、どこでもそういうおじいさん(私がお世話になりだしたとき、多分先生は60歳の少し前だったと思いますが、七つか八つの子どもにとってはおじいさんでした)がいて、そういうふうに教えてくれるのだ、と思っていました。

それでも、今思えば自分の先生はとても、とても偉いのだ、ということは何となく感じ取っていたようです。それで、その教室に行ってから軽く45年以上経っても自分が教える、ということは考えられないでいました。つまり、「先生」と呼ばれるからには、その先生と同じレベルでなければならない、と漠然と考えていたので、自分は「先生」にはなれない、と考えていたのです。

そんな私が「湧書会」なるものを(今の言葉で言う)立ち上げようと思った背景には三つの理由があります。

一つ目は、職場で知り合った人から思いもかけず、ちょっと教えてヨ、と言ってもらったこと。それで、もう一人若い知り合いを呼んで(その初めに声を掛けてくれた若くてきれいな女性と二人きりでお稽古するのは恥ずかしい気がしたから)、2回ほどお稽古してみました。2010年の1月のことでした。

けれど、その後は適当な稽古の場所が見つけられず、所謂「心が折れそう」になっていたとき、株式会社ニッポさんから、オフィスを稽古場として使っていいヨ、と申し出ていただきました。これが二つ目のありがたい理由。それで、そのオフィスの一部を何度か貸していただきました。その都度、お茶の用意までしてくださり、ありがたい上に暖かい気持ちになりました。また、もっと大きなこととしましては、本当に折れかけていた心が、オフィス貸してあげるヨ、というお申し出によって甦り、よし頑張るゾ、という気分になったことです。

そして、最後三つ目としては、今や超売れっ子のライターで占星術師の石井ゆかりさんの、彼女の主宰するウェブサイト上の豊かな語彙に裏打ちされた情感溢れる暖かい文章を読み続けているうちに、益々気持ちが前向きになって、よし、それならば、もっときちんとした形の書道教室を発足しよう、と思い立ち、湧書会の名前をつけました。2010年の6月のことでした。

そこで、今回の書展のためには、石井ゆかりさんの著作から選んだ文章を3種の作品にしました。占星術ですから、「星」が主題となっています。それから、実はこれは偶然だったのですが、湧書会に定期的にお稽古に来てくれる人が作品のために選んだ李白の詩や禅語が「月」を主題にしたものでした。それで、この書展の副題を「月と星とあしたへ」としたのです。

これまで、国内外の沢山の人たちとお話しして感じたことは、ちょっと書道体験がしてみたい、と思っている人って沢山いる、ということです。けれども、お道具を買わないといけないし、とか、お教室に通うのは面倒だし、とか思っている人も多いようですので、「ちょっとやってみる」ための機会が提供出来て、この文化の普及に少しでも貢献出来れば、との思いを強く持つようになり、今の湧書会の稽古の形態をとるようにしたのです。

ここに来るまでには、先生や奥さま、そこに長い間通わせてくれた両親や、いつも沢山の有意義な助言を与えてくださる先輩方、私なんかに「ちょっと教えて」と言ってくれた方、定期的に通ってくれる皆さま、オフィスを稽古場として貸してくださった上に、湧書会のウェブサイトやこの書展の案内ハガキやウェブサイト他、諸々をデザインして制作してくださり、また常に色々のアイデアを提供してくださる株式会社ニッポさん、こんな京都の一等地にあるギャラリーを拙い作品の展示のためにでも快く貸してくださる河原町画廊さん、湧書会に体験稽古をしに来てくれた皆さま、ずっと会を応援してくださっている皆さま、・・・今日私が感謝を捧げる方々はなんて沢山おられるのでしょう!

今、私は、私の先生の「暮らしの中に書の愉みを」という大きな夢を実現するために更に精進を続けようと、決意を新たにしたのです。

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1件のフィードバック »

  1. ピンバック: まずはこれを At the entrance | 作品いろいろ Yushokai works

  2. ピンバック: 暖簾生地 Large piece of linen cloth | 作品いろいろ Yushokai works

  3. ピンバック: 順風満帆 Smooth sailing | 作品いろいろ Yushokai works

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