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書道について思うことと書道へのお誘い

自分は何のために生まれてきたの? とか、私はこの世で何をしたらいいのでしょう? とか、考えることがありませんか。

私がそんなことを考えているうちに、思いあたったのは、偶然(あるいは運命?)出逢って可愛がってくれた書道の偉大な師と、その先生の書道教室に長年通わせてくれた親に恩返しをすることです。しかも、それはそのまま、書道という芸術を通しての私の自己表現でもある、という二重構造になっています。

そこで、私が書道について興味深く思うこと、また、それがどのように師から受け継いだものへと繋がっていくのか、ということを下に述べたいと思います。

(1)まず、絵画においてもそうですが、書道とは、紙などという薄っぺらな、というより完全に二次元の世界にどうにかして三次元的な世界を創ろうとするものです。私の書の先生は、「紙の上に宇宙を創るのだ」とまで表現しておられました。そしてこの目的のためには、墨色や墨の量や潤渇などに気を配る必要がありますし、またそういった作業は心楽しいものです。

(2)次に、書という芸術は基本的にモノクロの世界だ、ということです。ここで思い出すのは、ポップアートの旗手アンディウォーホルのことばで、それは、「総天然色の世界はどこにでも存在するけれども、モノクロの世界は故意に創らなければ存在しない」というものです。白と黒と、その間にある色だけで表現しようとする非現実性の故に、そこには却って独特の広がりや想像力を掻き立てる効果が期待出来るのです。また、ここでも、先の項目で述べた墨色や墨量の変化、また、潤渇などが重要であるし、そうしたことを考えていくこと自体が興味深いものとなります。

(3)そして三つ目としては、題材が文字である、ということ。これ以上実用的な物もないだろう、と思われ、事務連絡にも使えば、誰かに愛を伝えるためにも使う(それを実用的と言うならば、ですが)文字や言葉が書という芸術の題材になるのです。

とは言うものの、日本では昔から、「言霊」という考え方も存在し、それは大雑把に言えば、言葉には霊が宿っているから、例えば、肯定的な言葉を使っていれば物事がうまく運ぶし、その逆もまたあり得る、つまり言葉が人の人生に影響を及ぼすのだ、とする考え方らしいですが、このように言葉自体を神聖視するからこそ芸術の題材にもなるのかな、とも思うのです。また、経文などは、唱えるだけでも、あるいはその字を見るだけでもご利益がある、という考え方もあるようです。それで、見方によってはただ「実務的」と考えられる文字を芸術の題材として扱おうとするのも頷ける、という気がするのです。

そこで、それ自身に意味も伴う個々の文字や、更にはそれの集合体としての詩や格言なども書道の題材になります。つまり、好きな詩人の好きな詩の一節、または全体を書いてもいいし、あるいは勿論、自作の詩や歌を書くのも楽しいでしょうし、好きな字を一字だけ書いてもいいし、また自分を鼓舞するような格言などを書くのもいいかも知れません。そうやって、形になった作品を飾って自分が楽しめるからです。

あるいは、大切な人へのプレゼントとしても、手作りの品物、つまり特別の思いと行為がこもった品物なのですから、きっと喜んでもらえることでしょう。

(4)ここで最後に述べたいのは、ほんの数十年前までは、書籍や雑誌、新聞などの印刷物を除けば字という物はどんな場面でも手書きが普通で、だから習字、すなわち字を習うと言えば、上手な字・きれいな字が書けるようにする訓練を受けるということだった、ということで、更に、字がきれいに書けるということは、とりわけ若い女性にとっては大きな強みでした。

けれども、現代では整っていて読みやすい字なんか機械が書いてくれます。それで、書という芸術においては、折角私たち人間がそれを行うのですから、機械では出来ないような、人それぞれの個性や想いが溢れ、喜びが感じられるような創作を行いたいと思います。

上記をまとめますと、私が日々の自分のための稽古においても、湧書会参加者のための助言などにおいても、いつも思うこと、気をつけていることは、「自分の好きな字やことばや詩などを、機械が書くのではなくて、人が自分自身の表現のための活動として、紙の上に宇宙を創造しようと試みるように行い、またその結果を身近なところに飾って、自分も他の人たちも楽しめるように、精進を重ねていく」ということで、そしてそれはそのまま、書における我が師が目指しておられた「生活の中の書の愉しみ」となるのです。

そういった目的のために、私が創作し、またこんな小品は如何でしょうかと、皆さまにご呈示したいのが、例えば下の三つのパネル作品です。

examples

「夢」「花」「游」・・・すべて私の好きな字で、つまりその字姿も意味も好きだし、またこんな形は通常の活字の使用では再現出来ないし、また小さな作品ですから今の日本の標準的な家屋の普通の部屋や玄関などにも気軽に飾れる、と思うのです。

如何でしょうか。ご一緒に基礎的な練習から始めて、個性的な作品を自分のため、あるいは、誰か大切な人のために創作してみませんか。

そうです。まずは墨を磨ってそのいい香りを楽しみながら、構想を練って、そしてこの世にただ一つだけの作品を創り出しませんか。

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1件のフィードバック »

  1. Okです!
    作品も文章も品格があり素晴らしいと思います。

    上から目線って感じはないと思います。

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